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整形外科専門医による診療をおこなっております。
整形外科では、体の関節の痛み、外傷やスポーツ障害、骨粗鬆症などを中心に診療をしております。
診断に際しては、当院のレントゲンや骨密度測定器なども使用しますが、必要に応じて他院でCTやMRIなどの画像検査も行っております。
以下に、代表的な症状と原因となる病気を簡潔にまとめましたので、受診のお役に立てば幸いです。

腰の痛み

腰痛治療は生活を豊かにします

人間は二足歩行をするため、腰には多くの負担がかかっています。治療を要するほどの腰痛を経験したことがある人は4割を超えると報告があり、腰痛による日常生活の制限は多くの人を悩ませています。
腰痛の原因によっては時に手術が必要になることもありますが、大部分の腰痛は手術以外の方法でよくなります。
よくある疾患に関して、簡単にご紹介いたします。

▶ 急性腰痛症
いわゆるぎっくり腰です。重いものを持ち上げた時や急な姿勢の変化などで突然発症します。腰の関節やその周りの筋肉や靱帯が痛みの原因となることが多く、安静だけで治ることも多いですが、必要に応じて薬の内服や神経ブロック注射などを行うこともあります。

▶ 椎間板ヘルニア

背骨は椎骨という骨から成っていますが、骨の間には椎間板という軟骨があります。椎間板は椎骨同士のクッションの役目を担っていますが、外に突出する(ヘルニア)ことで近くにある神経や脊髄を圧迫して、痛みやしびれなどが生じます。保存療法(手術をしないこと)により約90%の人が改善するといわれています。リハビリも非常に有効です。

▶ 坐骨神経痛
坐骨神経という腰のあたりから足に伸びている神経が何らかの原因(椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など)によって刺激されることで痛みやしびれを生じます。薬物療法やリハビリなどで、神経を刺激している原因にアプローチをします。

▶ 脊柱管狭窄症
椎骨にはトンネル状の構造(脊柱管)があり、その中を脳から続く神経の束が通っています。脊柱管の狭窄により神経が圧迫されると手足の痛みやしびれなどが生じます。歩き続けることが困難で、休み休み歩く必要が出てくることもあります。骨や靱帯の変性が原因で、薬物療法やリハビリ、手術の検討をおこないます。

▶ 骨粗鬆症、脊椎圧迫骨折
加齢や運動不足や女性ホルモンの低下などにより、骨がもろくなることを骨粗鬆症といいます。骨折の原因となり、椎骨がつぶれてしまうことがあります(脊椎圧迫骨折)。骨粗鬆症には内服薬以外にも、非常に有効な注射での治療(月1回や半年に1回など)もあり、患者さんの病状に応じて治療をご相談しております。

▶ 腫瘍(癌の転移など)や感染症
内臓の癌(がん)の転移など、脊椎に癌が転移することも知られています。また脊椎の感染症による腰痛などもあります。当院ではそのような疾患を見逃さないために他院でのMRI検査なども必要に応じておこなっております。手術や入院が必要な場合には適切に対応できる体制をとっていますので、安心してご相談いただければと思います。

膝の痛み

加齢による膝の変形から、スポーツの外傷によるものまでさまざま

膝の痛みは加齢、外傷、リウマチ、腫瘍など様々な原因で生じ、筋骨格系疾患の1/3を占め、55歳を超えると4人に1人は膝痛を経験するとされています。診察と画像検査での正確な診断による適切な治療をおこなっております。

▶ 変形性膝関節症
正常な関節では骨の表面は軟骨でおおわれています。軟骨はつるつるでクッションとして働きますが、加齢に伴いそれが次第にすり減り、変形性膝関節症に至ります。階段の昇り降りや、立ち上がり、長時間の歩行で膝の痛みが生じるようになり、正座がしづらく、場合によっては膝がはれてきます(水が溜まった状態)。関節の炎症を抑えるために、外用薬(貼り薬、塗り薬)を用いたり、消炎鎮痛剤を内服することもあります。痛みを軽減させる為、局所の温熱治療を行ったり、電気刺激を行うこともあります。ヒアルロン酸注射により関節の動きを滑らかにする治療も非常に有用です。

▶ 外傷
外傷による膝の痛みの原因は、打撲、捻挫、靱帯損傷、半月板損傷、骨折など様々です。靱帯損傷の場合にはまずは装具を装着して保存療法(手術をしないこと)で経過を見て、その後筋力訓練を行います。保存療法で膝の不安定性が残る場合には手術を検討します。半月板損傷に関しても基本的には保存療法後の手術検討となります。

▶ スポーツ障害
ランナー膝やジャンパー膝というスポーツに伴う膝の痛みがあります。ランナー膝は、膝の屈伸により靱帯がこすれることにより炎症が起き、膝の外側に痛みを認めます。ジャンパー膝は膝に過度な引っ張る力が加わることで膝蓋骨周辺に微細損傷を引き起こし、膝の前面に痛みを認めます。

▶ 特異的関節炎
関節リウマチや痛風や偽痛風などにより関節に炎症がおき、疼痛を認めます。痛風の場合には、痛みの管理に加えて、炎症が落ち着いた段階において尿酸値を下げる治療が必要となります。内服での調整を行います。

▶ 骨腫瘍
骨肉腫、外骨腫などの腫瘍によって膝の痛みを認めることがあります。必要に応じて他院でMRIも撮影し正確な画像診断をおこなっております。

肩の痛み

人体で最大の可動域を持つ関節

肩痛は腰痛、頚部痛につづいて3番目に多い運動器疾患での訴えになります。肩こりなどで肩の痛みは日常的に自覚することが多いと思います。受診の判断に悩む方もいらっしゃるかもしれませんが、痛みが続く、繰り返している、手足のしびれ・痛みなど他の症状を伴うような場合には一度受診をご検討ください。

▶ 肩こり

姿勢が悪かったり、寝具があっていなかったり、ストレスがあったりすると筋肉がこわばり血流が悪くなることで起こります。生活習慣の修正が重要となりますが、温熱療法(リハビリ)での治療も効果的です。また肩こりの原因として、頸椎の障害が関係していることも多いため、症状や病歴により頸椎の確認も必要になることがあります。

▶ 肩関節周囲炎

いわゆる五十肩と呼ばれ、肩関節周囲に炎症がある状態です。明らかな原因がなく発症する場合が多く、肩の痛みがあり、肩を動かせる範囲が制限(バンザイができなくなる)されます。病気の経過は、炎症期→拘縮期→回復期と3つの段階からなっています。それぞれの段階を医師が見極め、リハビリも併用しながら治療をおこなっていきます。姿勢に関しては就眠時の姿勢も含めて指導をおこないます。

▶ 腱板断裂

肩を挙げるための腱が断裂し、肩の痛みと肩の挙上困難を認めます。症状は肩関節周囲炎と似ていますが、腱板断裂の場合には手術が必要になりますので、画像検査での正確な診断をおこない、手術ができる病院へとご紹介いたします。

▶ 石灰沈着性腱板炎、変形性肩関節症

ともに肩の痛みと挙上困難を認めます。石灰沈着性腱板炎の場合は自然に石灰が消失することが多いです。変形性肩関節症に関しては、基本的には鎮痛薬の処方とリハビリを行うことが重要ですが、最終的には手術も検討する必要があります。

▶ 肩関節脱臼

脱臼の仕方としては、肩関節において上腕の骨が体の前側に出ることがほとんどです。整復が必要になりますが、骨折の有無を確認し、愛護的(力任せではなく、やさしく)に整復をおこないます。反復する場合は手術も検討されます。

手足の痛み

痛みやしびれなどを見過ごさない

手足の痛みには、腱鞘炎やばね指、関節リウマチ、外反母趾、扁平足など様々なものがあります。症状や病状の程度によって保存療法、内服調整、リハビリ、注射、手術など対応は異なります。早めの対処により生活の質も上がりますので、一度ご相談いただければと思います。

▶ 関節リウマチ

手足の指、手首、肘、足首、等、様々な関節が腫れて痛みます。朝に指がこわばるのも特徴です。治療は、内服薬によるものが中心となります。

くわしくはリウマチのページをご参照ください。

▶ 腱鞘炎・ばね指
指の付け根で、腱もしくは腱を包むカバー(腱鞘)が厚くなることで、腱の滑りが悪くなることで炎症が起こります。炎症による疼痛や、引っ掛かりによるばね症状を認めます。外用薬、温熱療法、注射、手術と段階的な治療がありますが、必ず治るものです。

▶ 陥入爪

足の特に親指が皮ふに食いこんで炎症を起こすもので巻き爪とも呼ばれます。局所の炎症をおさえる治療を行いますが、爪の変形が強い場合は、手術を行います。当院でも手術を行っていますが、局所麻酔で行い、歩行して帰れます。術後痛むことも殆どありません。

骨粗鬆症・骨折

健康寿命の延伸のためにできること

骨粗鬆症とは、骨の量や質が低下することで、骨がもろくなり骨折しやすくなっている状態のことをいいます。骨粗鬆症によって骨折を起こすと、寝たきりになってしまったりと著しく活動度が下がり、認知症の発症や進行につながることもあります。骨粗鬆症の検査と治療を受けることが、健康寿命の延伸のためにも非常に重要です。

▶ 骨粗鬆症について

日本では2025年時点で推計1,590万人もの人が骨粗鬆症を罹患していると考えられています。女性の方が多く、男女比は 1:3 ほどとされています。骨では、骨を作る細胞(骨芽細胞)と壊す細胞(破骨細胞)がバランスを取りながら、古い骨が壊されて新しい骨が作られる代謝が行われています。加齢や女性ホルモンの減少やカルシウムの摂取不足によって、この代謝のバランスが崩れると骨量が減少して骨粗鬆症を発症し、骨折をしやすくなってしまいます。

▶ リスク

骨粗鬆症は加齢とともに発症しやすくなりますが、骨粗鬆症を発症するリスクを知り、できる対策(予防)をおこなうこともとても大切です。以下にリスクについて列挙します。

  1. 喫煙 2. 飲酒(1日ビール中瓶2本以上) 3. 低体重 4. 閉経 5.  運動不足 6. カルシウム不足 7. 過去の骨折 8. 家族に骨粗鬆症の方がいる 9. 加齢 10. ステロイド内服歴

▶ 検査と治療

検査は骨密度検査になりますが、当院ではガイドラインでも推奨されている方法を採用しています。少なくとも1年に1回は骨密度の検査をおこない治療効果を確認していくことが重要です。内服薬や注射によって、骨を壊す破骨細胞の働きを抑えることが治療の基本になりますが、骨を作る骨芽細胞に作用する薬も必要に応じて使用しています。治療により骨密度が改善したとしても治療を継続することが重要な疾患となります。