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循環器内科

正しい血圧の測り方 – 高血圧症 –

こんにちは。調布そわ内科・整形外科の内科・循環器内科を担当しております曽和裕之です。

高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれ、自覚症状がないまま動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などの原因となります(詳しくは別記事『高血圧症~サイレントキラーと呼ばれる病気~』をご参照ください)。

血圧は測定する状況によって大きく変動するため、正しい方法で測定することが重要です。

しかし、高血圧で当院へ転院される患者さんの中には、正しい血圧測定の方法について十分な説明を受けていない方も少なくありません。

そこで今回は、高血圧治療の基本となる「正しい血圧の測り方」について、循環器内科専門医の立場から解説いたします。

なぜ家庭血圧が重要なのか

高血圧診療では、診察室で測定する血圧よりも、自宅で測定する「家庭血圧」が重視されています。

その理由は大きく3つあります。

1. 心血管疾患のリスクを正確に予測できる

複数の大規模研究において、家庭血圧は診察室血圧よりも心血管イベントの発症リスクを正確に予測できることが示されています。

例えば、Finn-Home研究、J-Hop研究では、家庭血圧が高い人ほど心血管イベントの発症リスクが高いことが報告されています。また、診察室血圧は予後予測において家庭血圧に劣ることも示されています。

また、24時間血圧が良好にコントロールされていても、朝の家庭血圧が高い患者さんでは心血管リスクが約2倍に上昇することが報告されています。

2. 白衣高血圧や仮面高血圧を発見できる

家庭血圧を測定することで、診察室血圧だけでは把握できない重要な血圧パターンを見つけることができます。

代表的なものとして、

  • 診察室では高いが家庭では正常な「白衣高血圧」
  • 診察室では正常だが家庭では高い「仮面高血圧」

があります。

これらは見逃されやすい病態ですが、不必要な治療を避けたり、逆に治療介入が必要な患者さんを見つけたりするうえで非常に重要です。

白衣高血圧や仮面高血圧については、別の記事で詳しく解説したいと思います。

3. 長期的な血圧管理に適している

診察室での血圧測定は通常1〜3か月に1回程度です。そのため、長期的な血圧の状態を把握するには十分とはいえません。

一方、家庭血圧は毎日測定できるため、血圧の変化を継続的に評価できます。

また、家庭血圧の測定は患者さん自身が血圧管理に積極的に関わるきっかけとなり、治療の継続や生活習慣の改善にもつながることが知られています。

外来では「診察室でも血圧を測ってほしい」と希望される患者さんもいらっしゃいます。

認知機能の低下がある方や家庭血圧計をお持ちでない方については診察室で測定を行っています。

しかし、高血圧管理で最も重要なのは日々の家庭血圧です。

当院では血圧手帳の確認だけでなく、正しい家庭血圧の測定方法についても説明しながら診療を行っています。

正しい家庭血圧の測定方法

少し前置きが長くなりましたが、ここからは実際の測定方法について説明します。

① 血圧計の選び方

推奨: 上腕式の自動血圧計

薬局やインターネットで購入できます。手首式ではなく、上腕に巻くタイプを選びましょう。

手首式血圧計は、正常血圧の方では高めに、高血圧の方では低めに測定される傾向があります。測定値の40-50%が、上腕式と5mmHg以上の差を示す、と報告されています。

もし、手首式血圧計を使用する場合は、以下の2点に特に注意が必要です。

  • 手首の高さを心臓と同じ高さにする(手首が心臓より低いと、血圧は高く測定されます)
  • 手首が屈曲しないようにする(センサーの位置が橈骨動脈の真上に配置する必要があります)

上腕が太くて測定が困難であるなどの特別な理由がない限りは、上腕式血圧計の使用をおすすめします。

② 測定前の準備

測定の30分以内は、

  • カフェイン摂取
  • 喫煙
  • 運動

を避けましょう。

また、入浴後や飲酒後は血圧が変動しやすいため、しばらく時間を空けてから測定してください。

測定の直前には、

  • トイレを済ませる
  • 静かな場所で座る
  • 5分程度安静にする
  • 測定中は会話やスマートフォンを操作しない

ことが大切です。

③ 正しい姿勢

測定中の正しい姿勢も重要です。

正しい姿勢で測定することで、血圧値のばらつきを減らすことができます。

  • 背もたれに背中をつける
  • 両足を床に平らにつける(足を組まない)
  • 腕をテーブルの上に置き、心臓の高さに保つ
  • カフ(腕に巻く部分)は素肌に直接巻く(服の上からではなく)
  • カフは肘のすぐ上に巻く

④ 測定のタイミングと回数

理想的な測定方法:

朝:

  • 起床後1時間以内
  • 朝食前
  • 薬を飲む前
  • 1分以上間隔をあけて2回測定

夜:

  • 就寝前
  • 1分以上間隔をあけて2回測定

これを7日間以上続け、平均値で評価します。

最低限の測定方法:

  • 朝2回
  • 夜2回

の測定を3日間以上続けましょう。

測定値の記録:

  • すべての測定値を記録する
  • 記録した測定値の平均を計算する

★ 測定のコツ:

  • できるだけ連続した日に測定する
  • 次回の診察前の期間に測定する
  • 毎日の血圧測定がストレスになる方に関しては、血圧が安定している場合は、週に1〜3日の測定でも十分です

⑤ どちらの腕で測ればよいか

初めて測定する際は、左右両方の腕で測定してみましょう。

左右で差がある場合は、高い方の腕で継続して測定します。

また、左右差が大きい場合には動脈の病気が隠れていることもあるため、一度ご相談ください。

⑥ 注意点

  • 朝の血圧は、血圧の薬を飲む前に測定しましょう
  • 測定中は腕を自分で持ち上げず、必ずテーブルなどで支えましょう
  • 血圧が気になっても何度も測り直さないようにしましょう
  • 気になることがあれば医師や看護師に相談してください

最後に

ひとことに血圧が高いといっても、正しく血圧を測定できていなければ、その数値だけでは十分な判断はできません。

健診で血圧高値を指摘された場合でも、家庭血圧を測定してみると正常範囲内であることは少なくありません。一方で、家庭血圧でも高値が続く場合には、高血圧症として治療が必要になることがあります。

まずは、ご自身の家庭血圧を正しく把握することが大切です。

健診で血圧高値を指摘された方や、ご自宅で血圧高値が続いている方は、お気軽に当院へご相談ください。

循環器専門医として、お一人おひとりの状態に合わせた治療方針をご提案いたします。

高血圧は早期発見・早期治療が重要です。将来の心筋梗塞や脳卒中を予防するためにも、気になる方はぜひ一度ご相談ください。

<参考文献>

  1. Measurement of Blood Pressure in Humans: A Scientific Statement From the American Heart Association. Hypertension. 2019 May;73(5):e35-e66.

  2. Home-measured blood pressure is a stronger predictor of cardiovascular risk than office blood pressure: the Finn-Home study. Hypertension. 2010 Jun;55(6):1346-51.

  3. Association of Home and Ambulatory Blood Pressure With Cardiovascular Prognosis in Practice Hypertensive Outpatients. Hypertension. 2023 Feb;80(2):451-459.

  4. Self-Measured Blood Pressure Monitoring at Home: A Joint Policy Statement From the American Heart Association and American Medical Association. Circulation. 2020 Jul 28;142(4):e42-e63.

  5. Wearable Digital Health Technologies for Monitoring in Cardiovascular Medicine. N Engl J Med. 2024 Jan 25;390(4):346-356.

  6. Poor Reliability of Wrist Blood Pressure Self-Measurement at Home: A Population-Based Study. Hypertension. 2016 Oct;68(4):896-903.

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