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内科全般

脂質異常症の食事と運動

こんにちは。

調布駅徒歩2分の調布そわ内科・整形外科で内科外来を担当しております、曽和裕之です。

健康診断で、「コレステロールが高いですね」「中性脂肪が高いですね」「脂質異常症があります」、などといわれたことはありませんか?

脂質異常症は、基本的には自覚症状がありません。しかし、放置すると動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる病気の原因になる重要な疾患です。

そのため、「症状がないから大丈夫」と考えず、病気としてしっかり向き合うことが大切です。

一方で、「なるべく薬を飲みたくない」と感じる方が多いのも自然なことです。当院では、薬の内服を始める前に、食事療法や運動療法を案内することも少なくありません。

実際、食事や運動の改善によって数値が改善し、薬を使わずに管理できるケースもあります。また、たとえ薬物療法が必要になった場合でも、適切な食事と運動は治療の土台として非常に重要です。

今回は「脂質異常症の食事と運動」について、わかりやすく解説します。

脂質異常症とは

血液中には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸という4種類の脂質が存在しています。

このうちコレステロールは、細胞膜を構成する成分であるほか、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸や、さまざまなホルモンの材料となる重要な物質です。また、中性脂肪は体内でエネルギーを蓄える役割を担っています。

脂質異常症とは、本来は体に必要なこれらの脂質、特にコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)が、血液中で基準値から外れている状態を指します。

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、過剰なコレステロールを血管の壁に沈着させ、動脈硬化を進行させる働きがあります。一方で、HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、血管内にたまったコレステロールを回収し、肝臓へ戻す役割を担っています。すなわち、LDLが高値、HDLが低値、は動脈硬化を進行させる要因となります。

また、中性脂肪が多い状態が続くと、皮下脂肪や内臓脂肪として脂肪細胞が蓄積されやすくなります。さらに本来脂肪をため込まない臓器である肝臓や心臓周囲などに脂肪が沈着する「異所性脂肪」を引き起こすこともあります。その結果、肥満だけでなく、脂肪肝、急性膵炎、動脈硬化の進展など、さまざまな健康への悪影響を及ぼすことが知られています。

動脈硬化の進展

さて、動脈硬化はどのように進展していくのでしょうか。

動脈の壁は「内膜・中膜・外膜」という3つの層でできています。血液と直接ふれている内膜は、「内皮細胞」という薄い細胞に守られており、健康な血管では血液がスムーズに流れています。

しかし、高血圧、糖尿病、喫煙、脂質異常症、加齢などの影響で内皮細胞が傷つくと、LDLコレステロールが血管の壁の中に入り込みやすくなります。

入り込んだLDLコレステロールは変性して「酸化LDL」となり、さらに血管に炎症を起こします。すると、免疫細胞の一種であるマクロファージが酸化LDLを取り込み、「泡沫細胞」という脂肪を多く含んだ細胞に変化します。これが血管の壁にたまっていくことで、「プラーク」と呼ばれるコブのようなものができ、血管が徐々に狭くなっていきます。

さらに炎症が続くと、プラークの表面がもろくなり、破れやすい「不安定プラーク」になることがあります。プラークが破れると血のかたまり(血栓)ができ、心筋梗塞や脳梗塞の原因となります。

コレステロールは動脈硬化の進展に深く関わっており、脂質異常症の治療が重要であることがおわかりいただけるかと思います。

食事について

食事に関しては、「避けるべき・制限すべき食品」と「積極的に摂取したい食品」があります。

それぞれについて具体的に見ていきましょう。

▶ 避けるべき・制限すべき食品

 ① LDL(悪玉)コレステロールを上げやすい食品

■ 飽和脂肪酸が多く含む食品

肉類(特に脂身の多い部位)、乳製品(バター、チーズ、クリームなど)、ココナッツオイルパーム油加工食品(ケーキ、クッキー、チョコレートなどの菓子類)、ハンバーガー、フライドポテト、ピザなどのファストフードなど

■ トランス脂肪酸を含む食品

マーガリンショートニング一部の揚げ物や加工食品

中性脂肪を上げやすい食品

アルコール精製された炭水化物(白米や白パン)、添加糖(砂糖、ジャム、はちみつなど)、甘い飲料デザート類(ケーキ、クッキー、アイスクリームなど)

▶ 積極的に摂取したい食品

  • 野菜、果物
  • 全粒穀物と食物繊維を多く含む食品(豆類、オートミールなど)
  • ナッツ類
  • 脂肪の多い魚(サーモンやサバなど)
  • オリーブオイル、アボカド、ナッツなどの不飽和脂肪酸
  • 大豆たんぱく質
  • 低脂肪または無脂肪の乳製品

植物性食品を中心とした食事パターンが推奨されており、地中海食、DASH食、菜食・ビーガン食などを取り入れることもおすすめです。地中海食やDASH食に関しては、今後別の記事で詳しくご紹介したいと思います。

これらの食事法は、コレステロール値の改善だけでなく、心筋梗塞や脳卒中などの心血管イベントを減少させる効果があることも示されています。

食事のコツとして、飽和脂肪酸を不飽和脂肪酸に置き換えることが有効です。例えば、バターの代わりにオリーブオイルを使用する、赤身肉の代わりに魚や豆類を選ぶなどの工夫が効果的です。

中性脂肪が高い方は、炭水化物の質と量に特に注意が必要です。白米や白パンなどの精製された炭水化物を避け、低グリセミック指数(低GI)の野菜や果物、全粒穀物を選びましょう。

運動について

脂質異常症の方には、有酸素運動と筋力トレーニングの組み合わせが最も効果的です。有酸素運動だけでなく、筋力トレーニングを加えることで、より包括的な脂質改善が期待できます。特に週150分以上の中等度から高強度の有酸素運動と、週2日以上の上半身・下半身の筋力トレーニングが推奨されています。ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなど、ご自身が続けやすい運動を選ぶことが重要です。

例えば以下のような組み合わせが推奨されます:

  • 1日30分のウォーキングを週5日
  • または、1日20分のジョギングを週3-4日
  • プラス、週2回の筋力トレーニング

これらの運動による脂質改善効果は以下の通りです。

  • HDL(善玉)コレステロール:約2.1mg/dL上昇
  • LDL(悪玉)コレステロール:約7.2mg/dL低下
  •  中性脂肪:約8.0mg/dL低下

いままでの研究によると、運動の効果は、運動の強度よりも運動時間と継続期間に依存する傾向があります。すなわち、激しい運動を短時間行うよりも、無理のない中等度の運動を長く続ける方が効果的です。

また、過体重や肥満がある場合、体重減少は脂質改善に大きく貢献します。研究によると、1kgの体重減少ごとに中性脂肪が約4.0mg/dL低下することが示されています。

まとめ

脂質異常症の管理において、食事療法と運動療法は重要な役割を果たします。

植物性食品を中心とした食事、飽和脂肪酸の摂取制限、添加糖とアルコールの過剰摂取を控えること、そして定期的な運動を組み合わせることで、脂質プロファイルの改善や心血管疾患のリスクの低減が期待できます。

これらの生活習慣の改善は、一度に全てを完璧に実践する必要はありません。まずは、できることから少しずつ始め、無理なく継続していくことが大切です。

日々の小さな積み重ねが、将来の健康につながります。

健康診断で脂質異常症の指摘があった際には、いつでも調布そわ内科・整形外科にご相談にいらしてください。

<参考文献>

  1. ACC/AHA/AACVPR/ABC/ACPM/ADA/AGS/APhA/ASPC/NLA/PCNA Guideline on the Management of Dyslipidemia: A Report of the American College of Cardiology/American Heart Association Joint Committee on Clinical Practice Guidelines. Circulation. 2026 Apr 28;153(17):e1154-e1276.
  2. Nutrition interventions for adults with dyslipidemia: A Clinical Perspective from the National Lipid Association. J Clin Lipidol. 2023 Jul-Aug;17(4):428-451.
  3. Exercise training for the management of dyslipidaemia. A position statement from Exercise and Sports Science Australia (ESSA). J Sci Med Sport. 2026 Apr;29(4):335-341.

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